【日本の風習】お正月の過ごし方・楽しみ方
師走の忙しさに追われている今日この頃。お正月のご準備は進んでいるでしょうか。毎年決まって帰省や旅行に行く方、寝正月の方もいるでしょう。日本の風習としての過ごし方や定番の楽しみ方など、お正月の楽しみ方をピックアップしてみました。お正月の計画検討の参考になれば幸いです。
*正月とは
正月(しょうがつ)は、「三が日」や「松の内」のことを指しますが、本来は新年を迎える月(1月)のことを意味していました。かつての正月は、お盆と同じく、祖先の霊を呼び慰霊する行事だったそうです。それが次第に、新年のお祝いと、一年の無病息災を願うものに変わっていきました。文化的には旧年が無事に終わったことと新年を祝う行事のことを指します。正月飾りをし、正月行事を行ったりおせち料理を食べたりしてお祝いします。
※松の内:門松がある期間のこと。元日から1月7日まで。関西などでは1月15日まで。
*元日と元旦の違い
1月1日のみ「元日(がんじつ)」という国民の祝日とされていますが、少なくとも3日までの「三が日」は休日とする会社が多いようです。「元日」に類似する言葉として「元旦(がんたん)」という言葉があります。「旦」という漢字は、太陽を表す「日」と地平線を表す「一」から成り立っていて「朝・夜明け」の意味です。
・元日:新年を迎える年の最初の日(1月1日)のこと。
・元旦:元日の朝(初日の出)、1月1日の午前中を指す。

お正月の楽しみ方
■ 1970年代の定番の遊び「凧(たこ)あげ」
童謡「お正月」をご存知でしょうか。「もういくつ寝ると お正月~」で始まり、年末ごろから様々な場所で流されているあの歌です。この童謡の中に「お正月には 凧(たこ)あげて、独楽(こま)をまわして 遊びましょう」という歌詞があります。現在では、安全に遊べる広い場所がなくなったことやゲームの普及、少子化などにより凧あげの光景を見ることは少なくなりましたが、1970年代をピークに冬休みにはこども達が凧あげをする光景はよく見られていました。正月遊びとしての凧あげには意味があり、天高く揚げて、男の子の健康や成長への願いが込められているそうです。同じく独楽(こま)回しも最近は見られなくなりましたが、物事が円滑に回る、お金が回るという縁起が込められているそうです。お正月に凧あげをして遊んでみませんか? ただし、凧あげは電線のない広い場所で楽しみましょう。
■お正月の定番「おせちを食べる」
歳神様に捧げる供物としての料理が「おせち」。「おせち」は「節目の日のための供物」という意味から「御節供(おせちく、おせつく)」と呼ばれたのが語源といわれています。縁起担ぎの品々を重箱に詰めてお正月に食べます。
・黒豆:黒く日焼けするほど達者(マメ)に働けるようにと邪気を払い、長寿と健康(無病息災)を願ったもの。
・数の子:数の子は卵の数が多く、またニシンは「二親」に通じ、五穀豊穣と子孫繁栄を願ったもの。
・田作り(ごまめ):「ごまめ」は「五万米」であり、「田作り」の名とともに五穀豊穣を願ったもの。
・たたきごぼう(酢ごぼう):豊作と息災を願ったもの。別名「開きごぼう」ともいわれ、「運が開く」という意味も。
・紅白かまぼこ:赤色は魔除け、白色は清浄を意味し、紅白の色は縁起がよいとされる。
・伊達巻(だてまき):巻物(書物)に似た形から文化・学問・教養を持つことを願う縁起物。
・栗金団(くりきんとん):「金団」とは金色の団子という意味で金銀財宝を意味しており、金運を願ったもの。
・鰤の焼き物:ブリが出世魚であることにあやかったもの。出世を祈願。
・海老の焼き物:ひげが長く腰が曲がっている様子に由来し、長寿を祈願した縁起物。
・紅白なます:祝い事に用いる紅白の水引にあやかり、平安と平和を願う縁起物。
・酢蓮(すばす):蓮根の酢の物。 穴が多数ある蓮根は「将来の見通しがきく」という意味の縁起かつぎ。
・昆布巻き(こぶまき):「喜ぶ」の語呂合わせ。「昆布」に「子生」の字をあて子孫繁栄を願ったもの。
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■新年の幕開け「初日の出(はつひので)を拝む」
「大晦日から登山をして山頂で日の出を待つ」光景をテレビで見たことがあるのではないでしょうか。元旦からご来光を拝めたらとても縁起がいいことのように思います。日の出とは、太陽の上端が見かけ上の地平線・水平線に一致した時刻を指します。「初日の出(はつひので)」とは、1月1日(元日)の日の出のことをいいます。「ご来光(ごらいこう)」とは、高山や山頂などで、尊いものとして望む日の出のことで、山が高ければ高いほど早くご来光を拝むことができ、ご利益があると考えられています。初日の出は、どこから見ても初日の出ですが、高地で見える日の出でなければ、ご来光とはいいません。寒い時期に早起きはつらいものではありますが、一生に一度くらい初日の出を拝みたいものですね。
■お正月といえば「初詣(はつもうで)」
「初詣(はつもうで)」とは、年が明けてから初めて神社や寺院などに参拝することをいいます。1年の感謝を捧げたり、新年の無事と平安を祈願したりします。元々は「年籠り(としごもり)」とよばれ、家長が大晦日の夜から元日の朝にかけて祈願のために氏神神社に籠る習慣でした。やがて年籠りは、大晦日の夜の「除夜詣」と元日の朝の「元日詣」の2つに分かれて、元日詣が今の初詣の原形となりました。初詣が習慣化したのは、明治中期のこと。当時の鉄道会社と神社がキャンペーンを行い、遠方の有名神社へ初詣する風習を作り出したといわれています。初詣の風習としては、お守り、破魔矢(はまや)、熊手を授かり、絵馬に願い事を書いたりして、今年1年が良い年であるように祈ります。一般的には、正月三が日に参拝することを初詣と呼びますが、1月中に参拝すれば良いとの考えもあります。人混みが苦手で初詣は行ったことがないという方も1月中で良ければ少しは行きやすくなるのでないでしょうか。松の内が過ぎればお正月の雰囲気もなくなってきますが、1年の無病息災を願って今年こそは初詣に行ってみてはいかがでしょうか。
■地域によって異なる「お雑煮(おぞうに)を食べる」
「お雑煮(おぞうに)」は、今では正月には欠かせない料理のひとつとなっていますが、平安時代にはすでに食べられていたといわれています。当時の庶民にとって、お餅は「ハレの日」に食べるおめでたい食べ物でした。お餅と里芋、にんじん、大根などを煮込み、元日に食べたのが始まりだといわれています。様々な具材を「煮混ぜ(にまぜ)」たことが語源となり、「お雑煮」と呼ばれるようになったといわれています。当時は、前年の収穫が無事に終わったことに感謝し、新年の豊作や家内安全を祈りながら、お雑煮を食べていました。このようにお雑煮は、日本の文化に深く根付いていきました。
ハレの日:ハレ(晴れ)は儀礼や祭、年中行事などの「非日常」を表している。もともとハレとは、折り目・節目を指す概念で、「晴れの舞台」(=生涯に一度ほどの大事な場面)、「晴れ着」(=折り目・節目の儀礼で着用する衣服)などの言い回しで使用される。ハレの日には、餅、赤飯、白米、尾頭つきの魚、酒などが飲食されたが、当時の庶民にとっては雑穀と汁物と漬物が日常食で、肉や魚などの動物性の食品はご馳走であった。
お雑煮を食べるタイミングは、地域によって異なりますが三が日に食べることが多いようです。地域によってつゆやお餅の形状、具材、作り方が異なりますが、それぞれ意味が込められています。
・丸餅は、家庭円満を願ったもの。
・角餅は、土蔵が建つことから家が栄えることを願ったもの。
・里芋は、子芋をたくさんつけるため、子孫繁栄を願ったもの。
・大根は、角が立たないように丸く切って、家庭円満を願ったもの。
・にんじんは、赤色であるため魔よけを意味する縁起物。
結婚した際、お互いの家のお雑煮が異なることに驚く方も多いようですが、どちらのお雑煮も代々受け継がれ、様々な祈願をされてきたことを思うと、どちらのお雑煮も大切に受け継いでいけたらいいですね。
■冬休みの宿題の定番「書初め(かきぞめ)」
冬休みの宿題として定番となっている「書初め(かきぞめ)」は、古くから行われてきた日本の年中行事のひとつです。平安時代の宮中では、若水(わかみず)で墨をすり、恵方に向かって詩歌を書く習慣があり、江戸時代以降に庶民に広まったことが書初めと起源といわれています。書道や茶道、三味線などのお稽古ごとは「1月2日から習い始めると上達する」といわれており、書初めも新年の事始めとされる1月2日に書きます。書初めで書いたものは左義長(さぎちょう)で燃やし、その炎が高く上がると字が上達するといわれています。
若水(わかみず):元日の朝に初めて汲む水のこと。
左義長(さぎちょう):1月15日の小正月に行われる火祭りの行事。その年飾った門松やしめ飾り、書初めで書いた物を持ち寄って焼く。灰を持ち帰り自宅の周囲にまくと、その年の病を除くといわれている。歳徳神を祭る慣わしが主体であった地域では「どんと焼き」などと呼ばれ、出雲方面の風習が発祥であると考えられている。門松やしめ飾りを焼くことにより、出迎えた歳神を炎と共に見送る意味があるとされる。
大人になると書道を習っていない限り、書初めをする機会はなくなってきますが、書道は精神統一にとても良いので今年は集中して書初めをしてみるのもいいかもしれません。
■「今年の抱負を立てる」
「一日の計は朝にあり、一年の計は元旦にあり」と諺(ことわざ)にもあるとおり、物事は初めが肝心。年の初めの元日に1年の計画を立てて着実に行え、という教えです。古くは「一日の計は寅にあり、一年の計は春にあり」といわれ、中国に由来する表現と思われます。年の初めの過ごし方によって1年が左右されるかもしれず、年始に目標を定め決意を新たにすることが大切なのかもしれませんね。今年の抱負を書初めとして書くのもいいですね。

他にも、毎年元日に行われる「ウィーンフィル・ニューイヤーコンサート」を鑑賞したり、「全日本実業団対抗駅伝競走大会(ニューイヤー駅伝)」や「東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)」、「天皇杯全日本サッカー選手権大会」を観戦したり、お正月には多くの楽しみ方があります。年賀状を見るのも楽しみのひとつ。実家に帰省される方は、久しぶりにのんびりと過ごし、ゆっくりとおウチの味を堪能するのもいいですね。様々な楽しみ方があるお正月。毎年同じお正月もいいですが、今年は少し違った楽しみ方を加えてみてはいかがでしょうか。
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